チャタムハウス 23 Mar 2021

とうとう英国がインド太平洋地域に。

こんな国際的なインテリジェンス機関の活動の日本の窓口の先生ってホントスゴいですね、もっと大きく取り上げられるべきなのに。

何より私達の未来の為に。

 

導入のみです。

Google先生に翻訳して貰ったのを、あんまりよくわからんところはさらに大胆…と言うか酔余の勢で大雑把に意訳してみました。そもそも自分の勉強用のメモなので、お目にした方が原典にあたり"その訳は違うんじゃないの?"とかあれば気軽な指摘をお寄せたいただけると幸甚です。

 

原典

https://www.chathamhouse.org/2021/03/indo-pacific-strategies-perceptions-and-partnerships

以下引用雑訳

 

戦略的重要性の増すインド太平洋地域

 

最近、インド太平洋と広く呼ばれるインド洋とその周辺の地域で、大きな戦略的変化が起こっています。 これらの変化は主に中国の経済および軍事的拡大の結果です。その例としてまず、南シナ海で領有権の争われている島々への中国による違法な侵略と軍事化が挙げられます。 それには急速な軍事力増強および近代化プログラムやジブチに基地を開設することを含めます。 また、侵略のための訓練である事が明らかな大規模な軍事演習を行う事で、台湾との「統一」という北京の直接的な要求をエスカレートさせています。加えてネパールやスリランカを含む地域全体の国々との中国の和解。そして中国軍によるヒマラヤのインド国境沿い地域の侵略。それら北京が暴走している地域は、一帯一路イニシアチブ(BRI)などと呼ばれるプロジェクトの対象とする地域と重なっており、計画的なものです。


これらの戦略的転換の影響を受けた国々とそのパートナーは、北京の総合的な国力の拡大に対する抵抗の度を増しています。それらは、COVID-19が出現する前に始まりましたが、その後加速しました。 その結果、インド太平洋は主要なグローバル戦略の焦点となっています。 与件として、この地域は、米国、インド、日本、オーストラリアなどからの経済的、政治的、軍事的抵抗の高まりに反して中国の拡大が進んでいる場所です。 しかし、同盟やパートナーシップを構築し強化するための努力が高まっているにもかかわらず、これらの国々が抵抗する足並みが乱れています。 この研究論文は、これらの背後にある力学を理解することを目的としています。

 

この文書は、中国に加えて調査された6か国を選択する理由、方法論、および調査に基づく横断的テーマを説明する前に、異なる国の戦略的認識を理解することの重要性を最初に概説します。

 

以下に、フィールド調査が完了した時系列順に、米国、英国、フランス、インド、トンガ、日本という6つの詳細な国別レポートを示します。 各国のレポートは、その国のインド太平洋の政策開発の状況の概要から始まり、その後に国内のフィールド調査の要約が続きます。 各国のセクションは、調査結果の分析で終わります。 中国でのフィールド調査の結果をまとめたスタンドアロンボックスもあります。


この文書は、COVID-19のカスケード効果を含む、フィールド調査が終了してからの地域の戦略的変化の要約と、導入部で特定されたテーマがどのように進化しているように見えるかで締めくくります。 次に、フィールド調査と現在の戦略的環境で明らかになった認識に照らして、効果的で持続可能なインド太平洋パートナーシップを強化する方法についての提言を行います。

 

"認識"の重要性

 

パートナーシップを強化する上での障害の1つは、特定の国の戦略的コミュニティが、関係する他の国々、さらには緊密なパートナーの戦略的"認識"についての微妙な理解を欠いている場合があることです。 パートナーシップをより効果的にするためには、それぞれの認識の差を理解することが重要です。 これにより、各国は、その差を緩和または管理しながら、一致する点へと協力し、協同し、調整することができます。 この研究論文は、深く、効果的なパートナーシップの為、可能な方法を特定する目的で、この地域の6か国における"認識"を研究しています。


6つの国

以下6か国は、インド太平洋における現在または将来の役割に基づいて選ばれました。 地域における規模、影響力、および関与の深さにおいてそれらの国々は異なっていますが、潜在的なパートナー間の格差レベルのより良い調査を導く事ができました。

 

米国

現在、米国はこの地域を軍事的に支配しており、日本やオーストラリアなどの他の主要国の防衛の多く部門に関与しています。 また、米国、インド、日本、オーストラリア間のパートナーシップを強化する日米豪印戦略対話(Quad)の推進力でもあります。現在、Quadは主に軍事に焦点を当てていますが、そのメンバーと事業の範囲の両方を拡大する可能性があります。 すでに4カ国が、新技術、気候変動、COVID-19ワクチンの製造とオセアニアを含む地域の国々への配布に協力する意向を発表しています。


英国

英国のEU離脱後の外交政策の策定が進行中です。 結果に関りなく、英国はインド太平洋地域と長年にわたり潜在的に広く関わってきました。 国連安全保障理事会常任理事国であり、ファイブアイズの情報共有ネットワークのメンバーであり(米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドとともに)、G7諸国であり、連邦の中心であり、 金融、銀行、保険のグローバルセンターでありました。 この調査には、英国がインド太平洋で強力な/または重要な役割を果たしているとの自覚が、あるのか、またこれに対し他国の理解を得られるのかどうかを確認することが含まれています。

 

フランス

すべての欧州連合諸国の中で、フランスは、政治、防衛、地理の面でインド太平洋で群を抜いて最も大きな存在です。 世界で2番目に大きい排他的経済水域(米国に次ぐ)があり、その90%以上がインド洋と太平洋のフランス領に関連しています。 また、数千人の軍人、160万人のフランス国民、そしてこの地域の主要な防衛、エネルギー、インフラセクターとの利害関係を有します。

 

インド

インド洋におけるネットセキュリティプロバイダーとしてのこの国の規模、場所、役割は、インド太平洋の中核に強固に位置づけられています。 その経済的および戦略的方向性は、この地域の将来の勢力均衡において極めて重要です。 インドの戦略的コミュニティの一部は、伝統的「中立」姿勢の見直しを公にしています。特に2020年に中国が国境に侵入して以来、パートナーシップの強化に関心が高まっています。


トンガ

オセアニアは、インド太平洋の太平洋地域の広大な範囲を指す概念です。 オセアニアの戦略的に重要な国々の経済と社会はかなり異なります。 トンガはさまざまな理由で焦点として選ばれました。 人口は約10万人で、オセアニアの中では中規模の国です。 植民地化されたことがないので、長年の経験豊富な外交政策の専門知識があります。 最後に生き残ったポリネシア王国として、トンガには強力な地域のソフトパワーネットワークがあります。 王室はまた、英国、日本、タイ、中東を含む他の王室や皇室との往来を通じ、トンガに国際的なソフトパワーを与えています。 さらに、それは軍隊を持つ3つの太平洋島嶼国の1つです(他の2つはフィジーパプアニューギニアです)。


日本

現代のインド太平洋戦略の構築を発案した国のうちの一つ、日本は、中国への依存度が低い地域パートナーシップを促進するために、経済的手段を含む新しいアプローチを積極的に戦略に組み込もうとしています。米国との長年にわたる深い戦略的関係を持ち、インドとの経済的および防衛的関係を拡大しており、英国やフランスなどの「外部」パートナーのためのASEANへのパイプ役を果たそうとしています。

 

"インド太平洋地域"の認識

6か国は、運用上の現実と、優先順位、認識が異なります。 一例として、"インド太平洋地域".という用語自体は、国によって異なって認識されます。 インドはそれをアフリカの東海岸から南北アメリカの西海岸までの地域を意味すると公式に見ています。 米軍の中には、それを米国インド太平洋軍(USINDOPACOM)の管轄下にある地域、つまりモルディブとほぼ同じくらい西にある地域を意味すると解釈する人もいます。 日本は、日本の安倍晋三前首相が自由で開かれたインド太平洋(FOIP)と呼んだものに重点を置き、政治経済システムの観点からそれを組み立てる傾向があります。 フランスの政策コミュニティなどの一部の人々は、この用語をより明確に定義したいと考えています。 インドの政策コミュニティの人々のような他の人々は、曖昧さの中に利益を見ています。しかし、全ての国にとってインド太平洋への関心を高める主な要因が、中国の経済的および戦略的拡大であることは、程度の差こそあれ間違いありません。

 

パートナー国同士が中国に関する懸念について話し合うにあたり、認識の差が効果的な対応の妨げとなる可能性があります。 これは過去インド太平洋のオセアニア地域で見られました。 過去20年ほどで、中国はオセアニアで政治的、経済的、戦略的に急速な進歩を遂げてきました。 これには、2019年に、第二次世界大戦で戦費を蕩尽した戦の有ったキリバスソロモン諸島(マキン、タラワ、ガダルカナル)の台湾断交と中国との国交樹立を含みます。 北京は、インド太平洋のオセアニア地域の支配が、戦略的に制限されている第1、第2、第3列島線から抜け出すために不可欠であると考えています。これらは、台湾(第一列島線)を含むアジアの東海岸沖の島の同心円状の線です。 グアム、パラオマリアナ諸島第二列島線)は、敵対的である場合、より広いインド太平洋への中国の海上アクセスを阻止する機能を有します。

 

どこからどこまでが所謂オセアニアなのかという事も含め、国ごとの認識の違いが、同盟国の目標を違わせ、お互いを弱体化させる可能性があります。 このような状況が、この地域への注目が高まっているにもかかわらず、中国がオセアニアで進歩を続けている理由です。

 

オセアニアにおける中国の進出への懸念により、米国、英国、フランス、インド、日本はますますこの地域の国々と関わりを持つようになりました。これらの関与は、破壊的に拡大する中国の影響力を制限するという共通の目標を共有しているようです。 しかし、オセアニアという地域がどこを指すのか国によって異なる事も含め、国ごとに異なる認識が、同盟国の目的を違わせ、お互いを弱体化させる可能性があります。 それがこの地域への注目が高まっているにもかかわらず、中国がオセアニアで進歩を続けている理由の1つです。 当文書は、可能な場合、政策の失敗を回避するために、これらの国の認識のいくつかを明らかにする事を目的としています。


方法論

この文書では、中国だけでなく6か国の戦略的および政策的コミュニティの分析をサンプリングすることにより、さまざまな国民の認識の差を検証します。 6カ国に於ける主な調査は二つ絞られています。一つは戦略および政策コミュニティメンバーから匿名で選ばれた方々への、標準化された調査です。 もう一つは6カ国での、非公開の円卓会議と専門家への1対1の直接のインタビューを行いました。 中国では、質問票を対面インタビューを通じて記入して貰いました。

 

調査回答者、円卓会議の参加者、およびインタビュー対象者はすべて、インド太平洋に関連する調査、分析、および/または政策立案に直接関与していました。 取り上げられたトピックには、地政学的、地理経済的、地球物理学的変化、貿易、気候変動の混乱、安全保障協力、次世代エネルギー、二国間関係が含まれていました。 政治的不確実性が議論をますます過熱させたので、タイムラインは2024年まででした。

 

英国では、円卓会議がチャタムハウスで開催されました。 英国以外の5つの場所では、円卓会議は地元のシンクタンクと協力して実施されました。 パートナーは、ワシントン(米国)のEast-West Center、Institut français des Relations Internationales(Ifri)(パリ、フランス)、Gateway House(ムンバイ、インド)、Royal Oceania Institute(ヌクアロファ、トンガ)、インド太平洋研究会(東京、日本)。 円卓会議は、各国でハイレベルの対面インタビューによって補足しました。


プロジェクトの過程で、200人以上の専門家が研究チームと個人的な評価について話し合いました。 広範なサンプルではありませんし、そもそもある問題に関する国内の全会一致なんてめったに無いものですが、インド太平洋の戦略的転換の国家レベルの評価に関して実質的に合意すべき部分があったことを示すのには十分でした。 さらに、これらの評価の性質は国によって異なりました。 これらの国レベルの違いは、他国の政策立案者の現実を誤解したり割り引いたりすることで、共通の目標を達成するにあたり、その不注意さが困難を招く可能性があることを浮き彫りにしました。

 

そのため、この文書は、インド太平洋に拠点を置く、またはインド太平洋に関与する戦略的コミュニティが共通点を特定し、2024年までの優先順位の変化を予測しようとする際に、地域全体のパートナーとの不必要な緊張の回避を支援することを目的としています。 得られた知見を細分化するつもりはなかったのですが-その為短命は避けられないかも知れませんが-それは主要なテーマを特定するためには欠かせませんでした。

 

三つの主要なテーマ

 

フィールド調査から3つの主要なテーマが浮かび上がりました。

 

国内の分裂


すべての国で共通していたのは、自国の政策や潜在的なパートナーの政策が2つのグループに分かれているという懸念でした。 政治的および経済的コミュニティの大部分が中国とのより緊密な関係を模索している一方で、防衛、諜報および安全保障コミュニティは、国内および国際的な北京の影響と意図を懸念しているという認識でした。 この亀裂は、強固で明瞭な意思決定を妨げていました。


不確実性


2024年を前に、参加者はしばしば国際情勢の異常な量の不確実性に言及し、ある米国の参加者は「第二次世界大戦以来のどの時点よりも多くのボールが空中にある」と述べました。 言及された要因として、ブレグジット、米国の同盟国へのコミットメント(およびその逆)、経済の安定、戦争における人工知能の役割、中国の軍事技術の進歩、より広いインド太平洋地域に対するインドの戦略的関与の速度とその深度、香港、南シナ海、台湾などへの北京の狙いが含まれていました。


ヘッジ


多くの場合、国内の分裂と不確実性がヘッジもたらしました。各国は、可能な限り選択肢を広げたまま、米国および中国との関係を管理しようとしたのです。 しかしながらその多くは2024年までに、北京とワシントンの両方が圧力を強めたため、それらヘッジが終了するだろうと考えていました。

 

これらの3つのテーマは、6か国で異なる結論を導き、プロジェクトの過程で、インド太平洋にますます緊張したダイナミックな戦略的環境を作り出すように進化しました。